セフィーロ退役記念のページ

2007.11.19

約6年間お世話になったセフィーロが、丸9年の生涯を終えて退役した。とゆーわけで、今思うことを書いておくページ。

日産 A32セフィーロ エクシモ 2.0 後期型
10周年記念仕様車

エンジン:VQ20DE
排気量:1995cc
最大出力:114kW(155PS)/6,400rpm
最大トルク:186Nm(19.0kg-m)/4,400rpm
燃料:ハイオク
タンク容量:70L
全長X全幅X全高:4760 X 1770 X 1410mm
最低地上高:155mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1320kg

総走行距離:142,827km


台湾グリルを装備して標準より怖い顔。台湾ではこの顔でY30セドリックの後継を担った。
A32型セフィーロはローレルやマークII三兄弟と共にセダン時代の末期を飾った車種だ。とはいえ当時の俺が自らこんなオヤジカーを選択するはずもなく、元は文字通り「親父の車」だ。ようやく子供が手を離れて長年サニーを乗り継いだ親父にも少し余裕ができた、ということだったようだ。セフィーロを購入した時は随分喜んでいたらしい。在庫車を狙い相当な値切り方もしたらしいが(苦笑)。しかし購入してわずか半年、親父は病に倒れ運転できない頭と体になってしまう。気の毒をしたものである。
お袋は必要に迫られ免許取得。しばらくセフィーロに乗っていたが、ある日突然新車を買うと言い出した。訳を聞くと「運転の楽しさに目覚めた」とかのたまっている。そして新車のキューブに乗っていた俺に、中古のセフィーロを売りつけるというのだ。曰く「お父さんの思い出の車乗ってあげて」。オイオイ。「あんたが乗り続けろよ!(w」と思わなくもなかったが、我が家も子供のオムツが取れて背の高い車は不要になり、長距離走行が楽になるのは有難いので繋ぎのつもりで購入。当時はまだそこそこ人気車で色も人気色のホワイトパール、さらにディーラーを通して普通に売買したので、決して安くはなかったと記憶している。

最近では余り見ない端正な3BOXボディ。地味だが乗ると良さが判る車だった。

リアエンドのデザインは積極的に好み。同期のX100系マークIIのリアも好き。いい時代だ。
大して期待していなかったが、使ってみると室内やトランクはとんでもなく広くて快適。何よりその巨体がグイグイ曲がるのに驚く。他車と乗り比べたわけでもないが「セダンの良さとはコレか!」と納得する俺。意味もなく峠を飛ばしてみる事が多くなった。上り勾配では正直パワー不足で、ATの反応がニブすぎるとも思ったが、それもハンドリングがあればこそ出てくる不満だ。先代のA31セフィーロはスカイラインベースのFR車で、そのユーザーを納得させる走りがA32の開発必須条件だったという話はずいぶん後になって聞いた。よく考えればP10プリメーラと同じ年代の日産車が悪いはずもない。運転して良い車と思うと、外観も良く見えてくる。
とはいっても、買い替えは何度か検討した。7年目の車検の前後にはトラブルが連発していたので、広さでセフィーロと遜色ないティーダを真面目に考えていた。しかし、嫁に試乗させると「ハンドルがふにゃふにゃで気持ち悪い」と文句が出る。「そりゃ電動パワステだもん。マーチと比べたら随分マシになってるのよ?この価格帯では出来のいいほうの車なんだけど。」というような理屈は嫁には全く関係ない。確かにふにゃふにゃだ。人に言われると余計にそう思えてきて、結局セフィーロに乗り続ける事になった。ディーラーマン曰く、「セフィーロの人はみんな次で悩みますねぇ」。手ごろな価格帯でセフィーロより広くて良く走る車は「ないんですよ、今」。

全面ソフト素材のインパネの質感は当時としてはまずます。操作系は扱い易い。

オドメーターは「142826」。この写真を撮影後、ディーラーまでの最後の1kmを走行した。
繋ぎのつもりの車なのに、足回りを換え、マフラーを換え、オーディオを2回換え、タイヤは夏冬で計4セット16本を購入した。気が付くとあっというまに9年目の車検目前。走行距離は14万キロを突破。あと2年だけ乗ろうか。いや20万キロいけるか。しかし、流石に疲れが出てきた。エンジン音は濁り、アイドリングで振動する。加速は鈍くなり、燃費も悪くなった。足回り交換直後は良かった乗り心地も、極端に悪くなってしまった。その足回りからはコツコツギシギシと異音が出る。仮に足回りをまた全部交換するとして、ブッシュ類も換えないと期待するコンディションには戻らないだろう。そうなると相当の出費だ。
この時には「次の車」が決まっていた。新しい日産を代表するV36スカイライン。俺はセドリックに惚れて日産党になったので、歴代スカイラインには特段の愛着はない。だからR世代とV世代の比較については傍観者で、むしろV世代を全面的に支持している。元々新しい車種として設計されたV35スカイラインは、ロングホイールベースを生かしたパッケージングが魅力だった。さらにV36ではR世代スカイラインのユーザーを納得させるべく、ノーマルでもサーキット走行が可能な走りを手に入れた。方向性が変わってしまったティアナより、室内空間も走りも欲張ったV36スカイラインのほうが、A32セフィーロ的な車に思える。

背もたれが寝すぎたリアシートは国産車に未だありがち。その点を省けば至極快適。

足が組めるリアシートは大型FF車の特権だったが、今では軽自動車でも実現される時代の流れ。
車検を通して大掛かりなメンテをするか、買い替えを決断するか、車検切れ2週間前まで悩んだが、その間にもセフィーロはトランスミッションの不調が著明になってきた。点検してもらうと「走行距離にしては状態が悪いけど、社外品の足回りや峠が良くなかったかもね。」と言われる。ついこの間まで「この距離にしては良いコンディションだ」とか言ってたじゃん(苦笑)。その後、付き合いの長い実家近くのディーラーでお願いしたV36の見積もりで驚くべき値引き額を提示され、V36の購入を決定。同時にセフィーロの引退も決まった。最後のロングドライブが片道の里帰りになろうとは、セフィーロも思わなかったに違いない。
車検切れ前日の日曜、遂にお別れの日である。高速でATの調子が悪くなったら困るな~と心配していたが、その日はATもエンジンも調子が良かった。176kmをいつものように2時間弱で走り切る。「まだまだ走れる」と訴えるかのように調子の良いセフィーロ。オドメーターを見て「そろそろオイル交換か」と思考してしまう自分。これは切ない。動かなくなるまで乗ってあげればよかったとも思うが、予想される修理コストはもはやペイしない状況だ。もしセフィーロという名前の車が復活したら、今度はどんな車になるだろうか?その時にはA32が生まれ変わったと思って乗ってみたいものだ。9年間、お疲れさんでした。ありがとう。

■メンテ記録(途中で挫折している)

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