日産「ティーダ」試乗レポート

2004.10.20

ディーラーで「自由に乗って来てOK」と言われたので、幹線道路に出てぶんまわしてきた(^^;

自分で乗った事がある車は、1万キロ超が「二代目セフィーロ」「初代キューブ」「ナディア」、100km超が「二世代前サニー」「二代目マーチ」「アベニールバン」「プレオ」「スターレット」「ファンカーゴ」「カローラII」、ちょいのりが「初代プレサージュ」「現行エルグランド」「現行シーマ」「現行キューブ」「現行プリメーラ」「RX-8」といった程度なので、レポートといってもその辺りとの比較になる。

帰りの行程は嫁さんが運転。嫁さんは免許取得以来、セフィーロ以外のハンドルを握るのは初めてである。

■エンジン

1.5Lとは思えないほど出足が良い。車重の違いもあるが、多分信号ダッシュで2.0L/V6のセフィーロは勝てない。非常に扱い易いエンジンだ。4気筒だが振動もなくスムーズに回る。音質は低めで悪くない。アイドリングはエンジンをかけているかどうか音では判別できないレベル。5000回転以上はややうるさい「ガー」音になるが、嫌な振動はない。もっとも、トルクとCVTの特性を生かして5000回転以下で乗る車であろう。なかなかよい印象だ。後からでるという1.8Lはどんな感じだろうか。

個人的には、「クォーッ」という乾いた音のV6エンジンと比べると「ブブゥー」という音にはガッカリしてしまうが、それは酷な話か。

■トランスミッション

CVTは素晴らしい出来具合で、旧キューブと比べたら月とスッポン。最初は「試乗車がATモデルかよ」と思ったくらいATと比較して違和感がない。エンジンのトルクが太く、発進時に無闇に回転数が上がらないのが違和感のない理由か。金属ベルトの「キュイーン」という音は全く聞こえない。減速時のトルコンのロックアップ解除によるショックも全くない。これなら燃費の悪いATを選ぶ理由はありませんな。このCVTサイコーです。

■ハンドリング

電動パワステの車は、ティーダに限らず軸と軸受が硬化ゴムで出来ているような感触なのである。これでも巷でのティーダの評価は普通に良いらしいので、電動パワステというのはそういうモノなんだろう。実際、感触が悪いだけで違和感や不安感はなく、正確に操舵できるし道路の状況も普通に伝わってくる。セッティングは軽めでややクイックか。足回りは普通に楽しく走れる硬さだし、感触に慣れれば問題ないかな。

余談だが、シーマのステアリングは異次元の軽さ、硬さ、精密さだった。例えが難しいが、精巧に作られた硬く軽い金属の軸が、オイルで満たされ滑らかに回転しているという感じであろうか。とてもその先にゴムタイヤがあるとは思えなかった。同じ「軽いステアリング」でも、違うもんだなぁと思った次第。

■乗り心地

車内は想像以上に静かで、良くできた内装とのギャップは感じないレベル。

驚いたのは、ロードノイズに近い「ゴー」という振動(コンクリート舗装路を走った時に強く感じる高周波な振動)がない事。ロードノイズ自体は聞こえるので不思議な感じだ。このせいで、余計に静かに感じるのかもしれない。これは現行スカイラインから採用されている「リップルコントロールショックアブゾーバー」というヤツが効いているとみた。舗装状況の良い高速を長距離移動するにはサイコーかも。

ただし、それ以上の段差や大きなデコボコに対する車の反応は極めて普通。どうしても今乗っているセフィーロと比べてしまうのだが、特に大きなピッチングにはホイールベースの短さを意識する。まぁ、硬すぎて不快というレベルではないし、ある程度走行距離が伸びれば少し丸くなってちょうど良いバランスなのではないだろうか。実際、過去に乗った同じクラスのどの車よりも良かった。進歩するもんですな。

■嫁の評価

嫁はATFやエンジンオイルを交換すると気づく程度の感性は持ち合わせている。セフィーロのブレーキの異常にも俺より先に気づいた。誤魔化せない上に基本的に日産がキライなので常に日産車に対しては辛口で悲しい。

「乗り心地わる~」
「ウルサー、このエンジン」
「なんかハンドル変、軽いけど」
「重厚感が無い」
「運転してる感じがしない」
「見た目よりシート疲れるよ」
「はー、確かに楽だわ、運転。小さくて。」
「エイト(RX-8)にしようよ~」
「ムラーノなら日産でも許すから仕事しなよ」

...乗せるんじゃなかった。

■結論

内装を見て「もしかしたら走りも乗り心地もセフィーロより良いのでは?」という期待を込めての試乗だったが、結論から言うと「やっぱりコンパクトカーだね」。物理的な問題もあるだろうが、3回程度の世代交代では100万円の差は埋まらないものなのか。現実問題として今の我が家の財政ではセフィーロクラス以上はとても買えないので、ちょっと残念である。

しかし、もし何らかの理由でセフィーロが潰れて新車を買うとなったら、現時点では間違いなくティーダにする。同じ価格帯の車で比較すれば、ティーダの走りには文句を付ける箇所はないし(特にリップルコントロールショックとCVTは買い)、その上で出来の良い内装と広い室内というのは魅力である。日産嫌いな嫁も「3年位で乗り換えるならOK」だそう。あれだけ言っておいてなんだかなぁ。

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